ニュースリリース

放送事業者向け5G SAネットワークスライシングのソリューション提供開始

~センバツ高校野球にて、映像中継業務の作業負荷解消と新たな視点での映像体験を実現~

KDDI株式会社

KDDIは2025年4月17日、WAKONX Broadcastを構成するアセットとして、5Gスタンドアローン(以下 5G SA)(該当項目へジャンプします)商用ネットワークでネットワークスライシングを活用したソリューション(以下 本ソリューション)を、放送事業者向けに提供開始したことをお知らせします。本ソリューションは、スタジアムやアリーナなどの映像中継を実施する特定のエリアにて提供します。

KDDIは継続的に通信品質向上に取り組み、国内最多となる5Gの大容量・高速な通信を実現するSub6(3.7GHz帯/4.0GHz帯)基地局約3.9万局を展開し、2024年度には、Sub6基地局の出力アップやアンテナ角度の最適化により利用可能エリアを拡大しました。また、5G SAはSub6基地局全域で利用可能です。

本ソリューションは、観客などが利用する一般のスマートフォンのネットワークと、映像回線として利用するネットワークを論理的に分離することにより、映像中継に必要な通信品質を安定的に提供します。ケーブルの敷設を必要とせず無線での中継が可能となるため、映像中継が大幅に簡易化されるなど、専用機器の置き換えによるコスト削減が見込まれます。また、スマートフォンカメラやドローンを活用した映像中継では、多様な視点による臨場感ある映像体験の提供が可能になります。

今後、野球や陸上競技などのスポーツ中継制作にご利用いただく想定です。なお、本ソリューションは2025年3月18日から2025年3月30日まで実施された第97回選抜高等学校野球大会の中継において、株式会社毎日放送にご利用いただきました。スマートフォンで撮影した縦型動画の映像制作を中継内で実現しました。

<スマホで撮影した映像を中継で放送した様子>

中継での本ソリューションの活用について、株式会社毎日放送 総合技術局 制作技術センター テクニカルマネージメント担当 桂 将太氏は次のように述べています。
「第97回選抜高等学校野球大会の中継およびライブ配信において、若年層の視聴者にアプローチするため、アルプススタンドで応援する観客を主に被写体とした縦型動画を撮影・伝送し、試合中に速攻編集したVTRを再生する「みんなのサクラ」というコーナーを設けました。スマートフォン撮影による高い機動性と、単一キャリア回線で高品質映像を安定して伝送できる利便性を実感することができました。」

KDDIは2024年5月から、お客さまの事業成長・社会課題解決へ貢献するため、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX(ワコンクロス)」を始動しました。WAKONX Broadcastにおいては、放送業界のみならず、ほかの業界に向けても本機能を展開していくことを検討しており、お客さまのDX化に貢献していきます。

■背景

スタジアムなどの屋外から安定した映像を生中継するには、ケーブル敷設を伴う複雑なオペレーションが必要であり、マイクロ波や衛星波を利用する中継車からのケーブル敷設作業、専用機器や多くの制作スタッフの確保など、多大なコストと労力が課題でした。
KDDIは、2023年に5G SAスライシングを活用した全国高校野球選手権大会の中継技術実証に成功しました。この実証により、作業負荷の大きい有線ケーブルやマイクロ波を使用した場合と比較しても申し分ない映像品質での伝送が可能であることと、無線ならではの自在なライブ伝送の有用性を確認しました。
これらの実証や通信品質向上の取り組みを通じ、さらなる映像中継の作業負荷解消と新たな映像体験に寄与するため、本ソリューションを提供開始します。

■本ソリューションについて

1. 特長

  • 高負荷な環境下における中継の安定性の確保
    試合・ライブイベントなどでのネットワーク混雑時においても、中継に必要な通信品質を確保し、低遅延で安定性の高い映像・音声伝送をすることが可能です。
  • コンパクトな構成での中継による業務効率化
    大きな専用機器を使用しないコンパクトな構成での中継が可能となるため、煩雑なケーブルの取り回しなど、従来発生していた複雑なオペレーションを解消します。
  • 臨場感ある映像体験を提供可能
    ケーブルに制限されず、さまざまな視点での映像撮影が可能となります。これにより、スマートフォンや、ドローンを活用した空撮映像、スポーツの審判に設置した小型カメラの映像の伝送を実現し、視聴者がより熱狂できる映像体験を提供可能です。

2. 提供開始日

2025年3月18日

3. 提供料金

KDDI 法人営業担当者または法人お客さまセンターへご連絡ください。

<法人お客さまセンター>

フリーコール0077-7007(無料)
フリーコール0120-921-919(無料)
受付時間:9:00~18:00(土・日・祝日・年末年始を除く)

(参考)

■KDDIの通信品質向上の取り組み

KDDIは、2024年度、5Gの大容量・高速な通信を実現するSub6(3.7GHz帯/4.0GHz帯)について、基地局の出力アップやアンテナ角度の最適化により利用可能エリアを拡大しました。また、Sub6基地局全域での5G SAのサービスも開始しています。
これに加え、4Gを含めたネットワークの全体最適化や、通信速度(スループット)の向上、遅延(レイテンシ)の改善など、通信品質の向上に日々取り組んでおり、Opensignalから2024年10月に発表された日本市場の通信体感分析では全18部門のうち13部門で最多受賞、2025年2月発表のグローバル市場の通信体感分析では6部門中3部門で世界1位を獲得しています。

■WAKONXについて

WAKONXは、KDDI VISION 2030「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」の実現に向け、日本のデジタル化をスピードアップするというコンセプトから生まれたブランドであり、3つの機能群を有するAI時代のビジネスプラットフォームです。
WAKONXを通じて、最適化したネットワークの設計・構築やデータの蓄積・融合・分析を行います。また、AIが組み込まれたサービスやソリューションを各業界に最適化して提供することで、法人のお客さまの事業成長と社会課題の解決を支援していきます。

ロゴ:WAKONX
  1. 注)5G基地局に、5G専用に開発したコアネットワーク設備を組み合わせるシステム。
  • この記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。
    商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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