ニュースリリース

5G SAスライシングで全国高校野球選手権大会の中継技術実証に成功

KDDI株式会社

KDDIは、朝日放送テレビ株式会社(本社:大阪市福島区、代表取締役社長:山本 晋也、以下 朝日放送テレビ)、ソニー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:槙 公雄)・ソニーマーケティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:粂川 滋、以下 両社あわせてソニー)とともに、2023年8月6日から開催された第105回全国高校野球選手権記念大会において、5G SA(スタンドアローン)(該当項目へジャンプします注1)商用ネットワークでSLA(上り下り帯域)(該当項目へジャンプします注2)保証型ネットワークスライシング機能を活用した野球中継の番組制作の実証試験に成功しました(以下 本実証)。本実証で伝送した映像は地上波放送とBS4K放送、バーチャル高校野球での中継に使用されました。

本実証ではソニー提供のHEVCコーデックを用いた低遅延トランスミッター(該当項目へジャンプします注3)の試作機、5G対応スマートフォン、カメラを組み合わせ、5G SA商用ネットワークでカメラ本線とリターン信号(該当項目へジャンプします注4)のライブ映像伝送とカメラ制御を実施しました。混雑したスタジアムかつ機器の異常が起きやすい真夏の暑い環境においても、低遅延で安定した映像音声伝送が可能であることを確認しました。
本実証の構成によりケーブル取り回しが不要でコンパクトな構成ながらも高品質な映像・音声伝送を実現できるため、映像制作の幅が広がることが期待できます。今後、さまざまなスポーツ映像制作・中継技術のさらなる進歩に寄与します。

本実証の構成

<本実証の構成>

■本実証の背景

  • KDDIは朝日放送テレビ、ソニーとともに、番組制作の効率化や新たな視聴価値の提供を目的に、2023年6月から5Gや低遅延トランスミッターなどを活用した映像中継に関する技術検証と映像の高度化に取り組んできました。
  • 従来、スタジアムなどの屋外拠点から安定した映像を生中継するには、カメラの撮影位置から専用機器を搭載した中継車までケーブルを敷設する場合が多く、複雑なオペレーションが必要でした。
  • LTE回線を利用する場合はベストエフォートの通信品質となり、テレビの生中継映像に必要な高速かつ安定した通信の提供が課題でした。
  • SLA保証型ネットワークスライシングを用いることで、映像中継に必要な通信品質を安定的に提供可能となり、映像中継装置の一部など専用機材の置き換えによるコスト削減のほか、一般のお客さまが利用するようなケーブル敷設が難しい場所からの映像伝送など、新たな映像体験の提供を期待できます。

■本実証について

  • スタジアムにおいて、野球中継用カメラの映像を5G SAで朝日放送テレビ本社に伝送し、番組制作に活用しました。
  • 上り・下りのSLA保証型ネットワークスライシングにより、観客などが利用する一般のスマートフォンのネットワークと論理的に分離し、各映像中継に必要な通信品質を確保しました。
  • 高品質で低遅延かつ安定した本線カメラの上り伝送と、カメラマンにとって十分な品質の低遅延なリターン映像の下り伝送の同時実施が可能となり、有線カメラと混在して使用しても遜色のない映像伝送を確認できました。
  • 自由自在に移動ができる無線ならではのライブ伝送における強みを生かし、ケーブル敷設が難しい場所からの映像伝送を実現し、地上波放送とBS4K放送、バーチャル高校野球での中継に使用されました。

KDDIは今後も、エンターテインメント領域における技術の発展に資する取り組みを進めていきます。

  • 注1)
    5G基地局に5G専用に開発したコアネットワーク設備を組み合わせるシステム。
  • 注2)
    Service Level Agreementの略。
  • 注3)
    カメラ映像を低遅延・高画質かつ高圧縮し伝送するための装置。
  • 注4)
    カメラマンが放送中の映像を確認するための送り返し信号。
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