~再エネ発電・蓄電と電源監視機能を導入し、2026年度の電源設備VPP化を目指す~
KDDI株式会社
KDDIは2025年1月から、再生可能エネルギーの利用拡大と災害対応力向上を目的に、基地局電源設備の実証(以下 本実証)を和歌山県で開始します。
本実証では、新たに開発した基地局の附帯電源設備(電源箱・蓄電池)である「Open Power Station(注1)(以下 OPS)」に、基地局の電力使用状況をリアルタイムで収集・可視化する電源監視機能を導入するとともに、ドローンからOPSへのワイヤレス充電機能を設置し、動作を検証します。また、基地局には垂直設置型太陽光発電機器や小型風力発電機器といった自家発電設備を設置し、発電した電力をOPSに充電する検証を行います。OPSに蓄えられた電力は、停電などの際に基地局に給電します。
本実証において、自家発電やドローンを活用して基地局への電力供給ができるようになることで、停電時にも基地局を稼働させられる可能性が高まり、災害対応力向上につながります。また、太陽光・風力などの再生可能エネルギーを利用することで、環境負荷低減が期待できます。
KDDIは、政府が2026年度を目途に進める「低圧リソースを活用した電力の需給調整市場」への参入を目指しています。本実証の結果を基に、基地局へのOPS設置を進め、電源監視・再生可能エネルギー蓄電機能を活用することで、VPP(注2)への展開を目指します。
■背景
- KDDIグループは2030年度のカーボンニュートラル達成を目指しており、通信設備のCO2排出量削減をはじめとしたさまざまな取り組みを実施しています。2023年5月からはCO2排出量実質ゼロの「サステナブル基地局」を運用開始し、2024年2月からは、曲がる太陽電池を活用した「ペロブスカイト基地局」の実証を開始しました。一方で、再生可能エネルギーの利用比率をさらに高めるためには、多様な再生可能エネルギーを組み合わせ、季節や天候などに左右されない安定した電力を確保する必要があります。
- KDDIは社会を支えるインフラ企業として、24時間365日安定した通信サービスを提供するべく、災害に備えた取り組みを進めています。災害時に通信サービスが利用できなくなる原因の約8割は、停電による基地局の機能停止によるものです。通信サービスを維持するため、停電時でも基地局の長時間運用を可能とする取り組みが求められています。
■本実証について
1. 実証概要
以下の機能について実証を行います。
- (1)電源監視機能
基地局における発電量・消費電力量・蓄電池残量などのデータをリアルタイムで監視する機能の動作を検証します。取得したデータに基づき、停電時に蓄電池の電力が枯渇するタイミングの予測精度を評価します。電力枯渇タイミングを把握することで、優先して復旧すべき基地局の特定が可能になります。
- (2)再生可能エネルギー発電機能
[1] 垂直型太陽光発電
基地局の中央部に太陽光発電パネルを垂直設置し、発電効率を評価します。太陽光パネルを垂直に設置することにより、太陽光が斜めから差し込む朝と夕方にも発電量を確保できます。[2] 小型風力発電
基地局の頂部に小型の風力発電設備を設置し、太陽光による発電が困難な夜間や悪天候の条件下での発電効率を評価します。
- (3)ドローンからのワイヤレス充電機能
人が立ち入ることが難しい地域にある基地局の蓄電池余力を延命する手段として、ドローンからワイヤレスで充電する検証を行います。
2. 実証期間
2025年1月から3月まで実施予定
3. 実証場所
和歌山県
4. 本実証への協力企業
株式会社GSユアサ
株式会社リアムウィンド
株式会社ビー・アンド・プラス
ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社
KDDIは本実証を通じて再生可能エネルギーの利用を拡大し、カーボンニュートラルに貢献します。また、OPSを、社会に新たな付加価値を提供するビジネスモデルのプラットフォームとして位置付け、災害にも強い持続可能な通信インフラの実現に向けた取り組みを加速していきます。
- 注1)OPSは本実証に向けて新たに開発したもので、従来の電源箱を高機能化した設備です。従来の電源箱は基地局に電力を供給する機能のみ持っていましたが、OPSは電力供給に加え、電源監視などのVPP化を見据えた機能を有します。
- 注2)Virtual Power Plantの略。家庭などが有する小規模分散型のエネルギーリソースを束ねて制御することで、あたかも一つの発電所のように機能させるもので、電力の需給バランス調整への貢献が期待されています。
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