~ローソン店舗の作業データを活用し、フィジカルAIの社会実装を加速~
KDDI株式会社
KDDIは2026年9月9日、KDDIが提案する「小売物流業等の現場業務を代替するロボット基盤モデルの研究開発」(以下 本事業)が、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する国家プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)(
注1)」に採択(
注2)されたことをお知らせします。
本事業では、KDDIは東京・高輪のKDDI本社の従業員専用店舗「ローソン S KDDI高輪本社店」(
注3)を中心に、店舗で得られるバックヤード業務から売り場業務までの作業者目線の行動・操作データ(以下 エゴセントリックデータ)を収集し、ロボット制御の実証を行います。
また、日本語大規模言語モデル(LLM)を開発した実績を持つELYZAと先端研究を推進するKDDI総合研究所から技術的知見の提供を受け、エゴセントリックデータを活用したロボット基盤モデルを開発し、国内外の最先端ロボットを活用したオープンなエコシステムを構築します。
KDDIは本事業において国内外のロボットで実証を重ね、確立した技術とユースケースを基盤に、2028年度以降、ロボット基盤モデルを技術公開します。これにより、国内小売業や物流業へのロボット導入を進め、日本におけるフィジカルAIの社会実装に貢献していきます。
なお、本事業はKDDIが中期経営戦略(
注4)で掲げる「AI労働力」の社会実装を推進するものです。KDDIはあらゆる産業にAIが組み込まれる「AI前提社会」のフロントランナーとなることを目指しています。通信・AI基盤に加え、基盤モデルの開発から現場実証、社会実装までを一気通貫で推進していきます。
■背景
- 2035年には卸売・小売業で77万人、運輸・郵便業(物流)で23万人の計100万人規模の労働力不足が予測されており、生活インフラを支える物流・小売業界の人手不足は深刻な問題となっています(
注5)。この解決策として、現場の状況を自律的に理解して人のように柔軟に動く「フィジカルAI」の活用が期待されています。一方、商品や環境が刻一刻と変化する煩雑な物流・小売現場において、フィジカルAIを実際に使える労働力として社会実装するためには課題があります。 - フィジカルAIの社会実装に向けては、ロボットが複雑な現場作業を学習するための高品質かつ大規模な実世界データの収集に加え、多種多様な商品や環境変化に対応し、限られた空間でも高度な判断や繊細な作業を行えるAIモデルの開発が求められています。また、さまざまな現場で人の業務を代替できる汎用的なハードウエアの確保も重要な課題となっています。
■本事業の実施概要
「ローソン S KDDI高輪本社店」を中心に、在庫保管や品出し準備をするバックヤード業務から、商品の陳列・補充を行う売り場業務までのデータ収集とロボット制御実証を行います。多種多様な商品を扱い、状況が刻一刻と変化するコンビニのオペレーションはロボットによる自動化の難易度が極めて高いです。店舗全体のさまざまな業務にロボットが対応できることを目指し、日本の幅広い小売現場へフィジカルAIを導入するための基盤を確立します。
なお、本事業は、経済産業省とNEDOが実施する国内の生成AIの開発力強化と社会実装の促進を目的としたプロジェクト「GENIAC」の支援により実施します。
1. 実世界とシミュレーションを融合した効率的な「学習データセット」の構築
ローソン店舗運営で得た精度の高いエゴセントリックデータを含む「実世界データ」と「シミュレーションデータ」を融合し、効率的に高品質かつ大規模なデータを収集します。
| 実世界データ | 店舗スタッフが負担の少ない軽量なAIグラスを装着して通常業務を行うことで、「どの商品を見て、どのように手を伸ばし、掴んでいるか」というエゴセントリックデータやロボット視点の映像データを収集します。これにより、ロボットに人の業務動作を学習させます。 |
|---|---|
| シミュレーションデータ | 高品質な実世界データを教師データとして活用し、デジタルツイン上で多様な状況を想定した動作パターンをAIにシミュレーションさせます。これにより、現実世界だけでは収集が難しい多様なバリエーションのシミュレーションデータを自動生成し、「学習データセット」を飛躍的に拡張します。 |
2. 複雑な現場に適応する「ロボット基盤モデル」の開発
グローバルで先行するオープンなロボット基盤モデルをベースに、「学習データセット」を用いて学習させることで、ロボットの多指ハンドの動きを人間のようにしなやかに制御する小売・物流特化型の「ロボット基盤モデル」を開発します。これにより、これまでロボットが苦手としてきた「袋菓子のように柔らかいもの」「形状が複雑なもの」のピッキングや、隣の商品を倒さずに棚に商品を補充するなどの高度な作業の実現を目指します。
3. 国内外の最先端ロボットを活用した「オープンなエコシステム」の構築
開発した「ロボット基盤モデル」を特定のハードウエアに縛られることなく、国内外の有力なロボットメーカーが開発する多様なロボットに搭載し、現場でのさまざまなオペレーションで実証を重ねます。実証から得た知見をロボットメーカーに還元することで、さまざまな人間の業務を代替可能なロボット開発に寄与し、日本のフィジカルAI産業全体の発展に貢献します。
■本事業の推進における各社との連携
本事業ではKDDIグループ各社に加え、ロボット開発企業やAI開発企業など複数のパートナー企業と連携し、オープンなエコシステムの構築を推進します。各社の主な役割は以下のとおりです。
| KDDI | プロジェクト全体の全体統括と推進。 通信・計算基盤(GPU)・セキュリティー基盤の提供、ロボット基盤モデルの開発、エゴセントリックデータ収集・活用技術の開発、現場データ収集、現場実証の設計・実行、および社会実装 | |
|---|---|---|
| KDDI グループ | ELYZA | LLMをフルスクラッチで開発してきた知見を生かした、ロボット基盤モデルの開発技術を提供 |
| KDDI 総合研究所 | 長年の研究により培った画像認識や状況理解の技術を活用し、エゴセントリックデータ活用技術やロボット軌道生成などのデータ拡張技術を提供 | |
| ローソン | 実証環境(ローソン S KDDI高輪本社店)および店舗運営知見の提供 | |
| 協力企業 | Genki Robotics | ヒューマノイドロボットの提供 |
| リアルワールド株式会社 | ロボット基盤モデル(ベースモデル)の提供 | |
株式会社ローソン 執行役員 インキュベーションカンパニー プレジデント 吉田 泰治 氏のコメント
今回のKDDIの取り組みに協力いたします。ローソンとしても、店舗現場が抱えるさまざまな課題の解決に向けてテクノロジー活用を進めています。本取り組みで得られる知見やノウハウを広く活用することで、フィジカルAIの社会実装が進み、小売・物流業界が抱える人手不足などの課題解決につながることを期待しています。
- 注1)GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)新規ウィンドウで開く:国内の生成AI開発力強化と社会実装の促進を目的に、経済産業省および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が協力して実施する事業。
- 注2)
- 注3)
- 注4)
- 注5)
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