~導入コスト約50%削減、オープン化主導でベンダー共創を加速~
KDDI株式会社
KDDIは2026年6月5日、AIの普及に伴うトラフィックの増大に対応するため、KDDIのサービスを支える国内主要4拠点のバックボーンネットワーク(
注1)において、柔軟な容量拡張が可能なクラスタ型ルーター(DDBR:Distributed Disaggregated Backbone Router、以下 本ルーター)の商用運用を開始しました。ネットワーク機器の導入コストは、従来のルーターと比較し、約50%削減(
注2)できることを確認しました。
本ルーターは、従来のシャーシ型(ハードウエアとソフトウエア一体型)のルーターと異なり、ハードウエアとソフトウエアを分離したオープンな仕様です。加えて、複数の機器を組み合わせて1台のルーターのように動作させる「分散型アーキテクチャー」を採用しています。これにより、トラフィック量に応じて柔軟に容量を拡張できるほか、特定のベンダーに依存せず、最適な機器を選定することが可能です。

KDDIは、他社に先駆けて本ルーターの大規模な商用導入を進めており、2027年度までに全国のバックボーンネットワークへの導入完了を目指します。今後、自社ネットワークでの運用で得た知見と本ルーターの導入実績をもとに、ネットワークのオープン化を推進し、多様なベンダーが参画できるエコシステムを形成するとともに、社会の持続的成長を支えるネットワーク基盤の構築を加速させていきます。
■背景
- 生成AIをはじめとするAI技術の進化は、社会に大きな変革をもたらす一方、データセンター間などでやりとりされるデータ量を爆発的に増加させています。従来のシャーシ型のルーターは、容量拡張の際にシャーシ単位での増設が必要となり、今後想定される急速なネットワークトラフィックの増大やニーズの多様化に、迅速かつ柔軟に対応することが困難でした。こうした課題を解決するため、ネットワークの拡張性を向上させるアーキテクチャーの採用や、オープン化の取り組みの重要性が増しています。
- KDDIは2020年からTelecom Infra Project(以下 TIP)(
注3)において、ルーターのオープン化に向けた技術開発を主導してきました。2023年6月にはインターネットゲートウェイピアリングルーターとして商用化を完了(
注4)、2025年2月にはバックボーンネットワークのコアルーターとして本ルーターの商用化を見据えた技術検証を完了しました(
注5)。さらに2025年5月にはDriveNetsとの戦略的パートナーシップを締結し(
注6)、ネットワークのオープン化を進めています。
■本ルーター導入による効果
1. 従来比約50%の機器導入コスト削減と運用効率化
本ルーターはオープン化されているため、ベンダーの制約を受けずにハードウエアとソフトウエアを自由に組み合わせることが可能です。これにより、ネットワーク要件に応じた最適な機器を選定することでネットワーク機器の導入コストを最適化し、過剰な設備投資を抑制することができます。今回KDDIでは、主要4拠点の商用バックボーンネットワークのコアルーターにDriveNets製のソフトウエアとUfiSpace(
注7)製のハードウエアを組み合わせて使用し、従来のシャーシ型のルーターを用いた場合と比較してネットワーク機器の導入コストを約50%削減しました。
また、異なるベンダーの機器を共通の手順で一括管理できる、業界標準のデータモデルである「OpenConfig」を採用し、本ルーターの導入時に必要となる設定や検証作業の一部を自動化しています。今後、ネットワークのマルチベンダー化がさらに進む中、特定のベンダー仕様に依存しない自動化基盤を活用することで将来的な運用工数の大幅な削減が期待できます。

2. ネットワーク全体の信頼性向上
本ルーターは柔軟にスケールアウト(機器増設による処理能力向上)が可能なクラスタ型で構成されており、トラフィック量に応じてルーターの容量や台数を柔軟に設計することができます。例えば大規模なルーター1台の構成を小規模なルーター複数台の構成に変更することで、一部の装置に障害が発生した場合でもほかの装置が処理を継続することが可能になります。この高い冗長性によりネットワーク全体の信頼性が向上し、これまで以上に安定した通信サービスを提供します。
KDDIは今後もTIPでの活動を通じてネットワーク全体のオープン化を主導し、さらなる技術革新に貢献していきます。
- 注1)モバイル網、固定網など通信事業者が有する複数のネットワークを束ねる役割を果たすネットワーク。
- 注2)本ルーターを導入した場合と、同等の要件を従来のシャーシ型ルーターで構成した場合における、ソフトウエアライセンス費用、ハードウエア費用、および導入時のベンダサポート費用を含む導入コストを比較したものです。
- 注3)2016年2月に設立されたアメリカ デラウェア州の非営利法人であり、オープンテクノロジーの開発や通信分野におけるイノベーションの加速を通じて、高品質な通信ネットワークの持続的なグローバル展開を促進・変革することを目的としています。この取り組みには、世界中の多数の企業や団体が参加しています。
- 注4)
- 注5)
- 注6)
- 注7)UfiSpace Co., Ltd.(本社:台湾 新北市、CEO:Vincent Ho)は、通信事業者やクラウドサービスプロバイダー、およびデータセンター向けにエンドツーエンドの5Gネットワーキングソリューションを提供する企業です。
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