KDDI株式会社
~TIP認定のオープン化した通信機器で低消費電力化、小型化を実現~
KDDIは2023年6月5日、インターネットを接続するバックボーンネットワークにおいて、ハードウエア・ソフトウエアともに複数ベンダーの組み合わせが可能な「オープンルーター」(以下 本ルーター)の商用運用を開始しました。本ルーターはホワイトボックス化(注1)によりオープン化しており、従来のルーターと比較して約50%の低消費電力化と約40%の小型化を実現しています。また、Telecom Infra Project(以下 TIP)で認定されており、通信事業者での商用運用は国内初、世界では2例目になります。今後KDDIは、本ルーターの導入を拡大し、バックボーンネットワークのオープン化を目指します。
<従来型ベンダールーターとホワイトボックス化したルーターの構成比較>
5Gサービスの提供により移動体通信の用途はさらに拡大し、端末種類の多様化や増加により、通信量の急速な増大が予想されています。これを支える5Gネットワークインフラの構築では、従来にも増してシステムの低消費電力化、小型化、低コスト化といった効率化が求められています。
また、従来はバックボーンネットワーク内のさまざまな領域にあわせて個別のハードウエアを準備する必要があり、コストがかさむだけでなく、運用が複雑になるという課題もありました。
KDDIは、通信機器のオープン化などを推進するため、Meta Platforms, Inc.(本社:アメリカ カリフォルニア州、CEO:マーク・ザッカーバーグ)が推進するTIPに参加しています。バックボーンネットワークの通信制御を担うルーターのホワイトボックス化に向け、仕様策定(注2)、TIP認定ベンダー公表(注3)などに貢献しています。
■本ルーターの特徴
このたび、2022年3月に通信事業者の商用ネットワークに耐えうることを確認した本ルーター(注4)をKDDIの商用バックボーンネットワークのインターネットゲートウェイピアリング用として商用導入を開始しました。
1. 最小限のチップ構成による効率化
従来のルーターの構成はベンダーに依存しており、ハードウエアとソフトウエアを柔軟に選択することができませんでした。本ルーターではホワイトボックス化によりオープン化しているため、KDDIが必要とする機能に合わせた最小限の構成として、Broadcom, Inc.社製大容量汎用ハードウエアチップ1枚での構成が可能となりました。これにより、低消費電力化、機器コスト低減および小型化を実現しました。
2. ハードウエアの共通化による効率化
バックボーンネットワークには、コア、エッジ、ピアリングなどさまざまな領域が存在します。従来はそれぞれの領域ごとに異なる機種のルーターを利用することが一般的でした。本ルーターでは、ホワイトボックス化によりインタフェース仕様をオープン化しているため、それぞれの領域において同じハードウエアを使用することができます。これにより、各領域の予備品の共通化が可能となり、機器コストの削減に寄与します。
<ハードウエア共通化による従来ルーターと本ルーターの比較>
KDDIは、今後もグローバルなTIP活動とともにホワイトボックスルーターの商用化を積極的にリードしていきます。
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