~脱炭素に貢献するサステナブルな液浸データセンターを実現、2023年度中に提供開始~
KDDI株式会社
三菱重工業株式会社
NECネッツエスアイ株式会社
KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋 誠、以下 KDDI)、三菱重工業株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 泉澤 清次、以下 三菱重工)、NECネッツエスアイ株式会社 (本社: 東京都文京区、代表取締役執行役員社長: 牛島 祐之、以下 NECネッツエスアイ) は、2023年2月28日、脱炭素に貢献するサステナブルなデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置の大規模構成での利用を想定した実証実験 (以下 本実証) を行い、冷却設備におけるティア4 (注1) レベルでの安定稼働に成功しました。従来型のデータセンターと比較し、サーバー冷却のために消費される電力を94%削減 (注2)、データセンターの電力使用効率を示すPUE値1.05 (注3) を実現しました。なお、本実証はKDDI小山ネットワークセンター (以下 KDDI小山NC) で実施しました。
3社は、大規模データセンターからコンテナ型データセンター (注4) まで幅広い活用を想定し、2023年度中に液浸データセンターの提供を開始します。
<液浸データセンター全景>
<室内: 液浸冷却装置>
<室外: フリークーリング装置>
■本実証について
1. 背景と課題
- 世界的なDXの進展や新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方の変化、自然災害へのBCP対策により、クラウドサービスおよびデータセンターの需要が急速に拡大しています。
- 一方でIT機器の高性能化・高密度化により、IT機器による発熱がこれまで以上に大きくなってきており、データセンターでの排熱処理が課題です。サステナブルなデータセンターを実現するためには、電力消費量の削減と排熱効率のよいデータセンター運用が重要です。サーバーが発する熱を高効率の冷却装置で冷却することで消費電力量を抑制し、環境に与える影響を最小限に留めることが求められています。
- 今回、KDDI小山NCで液浸データセンターを試験運用し、各分野で社会インフラを担っている3社が持つ技術や知見をそれぞれ持ち寄り、安定性や成立性を確認しました。
動画が視聴できない方はこちらへ
<液浸データセンターの取り組み紹介動画>
2. 実証概要
2022年4月1日からKDDI小山NCにて、100kVA相当のサーバーなどのIT機器と液浸冷却装置をデータセンター内に収容し、試験運用する実証を行いました。最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置を開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化を実現しました。
また、液浸冷却装置およびフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を確認しました。
<液浸冷却装置およびフリークーリング装置の構成>
3. 成果
- 最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置 (注5) を含む液浸システムを開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化をすることで、サーバー冷却のために消費される電力の94%削減とPUE値1.05を実現しました。
- 液浸冷却装置およびフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を立証しました。加えて、IT機器が発する騒音は空冷方式に比べて約35dBの低減 (注6) を実現しました。
- 国内での商用利用を見据え、保守体制の検討、保守マニュアルの整備も含めた実践的な運用を行いました。
4. 各社の役割
5. 試験運用への協力企業 (ABC順)
- ENEOSホールディングス株式会社
- FXC株式会社
- Giga Computing
- Intel Corporation
- MiTAC Computing Technology Corp
- Super Micro Computer, Inc.
- Western Digital Corporation
- アリスタネットワークスジャパン合同会社
- エヌビディア合同会社
- 株式会社DC ASIA
- 工業技術研究院 (ITRI)
- シスコシステムズ合同会社
- ソリダイム・ジャパン
- デル・テクノロジーズ株式会社
- 日本AMD株式会社
- 日本フォームサービス株式会社
- 日本ヒューレット・パッカード合同会社
- パンドウイットコーポレーション日本支社
3社は今後も、本実証を通じて、国内のデジタルトランスフォーメーション (DX) の発展に寄与するとともに、脱炭素化および地球環境保全に貢献していきます。
<別紙>
■これまでの取り組み
1. フェーズ1 2020年7月から2021年1月
KDDIは、液浸技術を使ったデータセンターの基礎実証を台湾で実施しました。この実証は、液浸技術と20フィートコンテナ、さらには外気空冷を組み合わせたコンテナ型データセンターを使って行われ、最終的に「PUE値1.09」を達成しました。
2. フェーズ2 2021年6月から2022年3月
KDDI、三菱重工、NECネッツエスアイの3社は、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置を活用し、データセンターを小型コンテナに収容して稼働させる実証実験に成功しました。従来型のデータセンターと比較して43%の消費電力削減と、「PUE値1.07」のコンテナ型データセンターを実現しました。
2021年6月21日ニュースリリース
KDDI、三菱重工、NECネッツエスアイ、液浸冷却装置の活用および小型データセンターの実現に向けた実証実験を開始
~脱炭素化に向け、サーバーを冷却するための消費電力を削減~
2022年3月29日ニュースリリース
サーバーを液体冷却、コンテナ型データセンターで消費電力43%減に成功
~脱炭素に貢献、24年度の商用提供を目指しKDDI小山TCで試験運用~
3. フェーズ3 2022年4月から2023年3月
KDDI、三菱重工、NECネッツエスアイの3社は、KDDI小山NCに設置した大規模構成のデータセンターにおいて、液体でIT機器を冷却する液浸データセンターとしての安定稼働の実証実験に成功しました。従来型のデータセンターと比較してサーバー冷却のために消費される電力の94%削減と、「PUE値1.05」の液浸データセンターを実現しました。
これまでの取り組みを通じて、実証対象のデータセンター規模は徐々に拡大、PUE値は徐々に向上しており、サステナブルな液浸データセンター運用に向け、進化を続けています。
<これまでの取り組み>
- ※この記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。
商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。