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「分散型AI」による混雑状況の時間変化に合わせた自律的な通信エリアの最適化に成功

~AI前提社会を見据え、上り通信の混雑時速度を60%向上、低速度エリアを30%削減~

KDDI株式会社
株式会社KDDI総合研究所

KDDIとKDDI総合研究所は、複数のAIが基地局の設定を自律的に最適化する技術(以下 分散型AI)を活用し、時間帯ごとの通信状況に合わせて通信エリアを最適化する実証(以下 本実証)を2026年6月から8月にかけて、全国の一部商用ネットワークで実施しました。
AI前提社会においてAIや映像データの活用拡大により上り通信速度の重要性が高まる中、本実証では、通信混雑エリアにおいて上り通信速度を平均約60%向上させ、上り通信における低速度エリアを約30%削減することに成功しました。
両社は本実証の成果に基づき、時間帯ごとの通信状況に合わせて通信エリアを最適化する分散型AIを、2026年11月から全国の商用ネットワークへ順次導入し、2026年度中に本格稼働を開始します。

<分散型AIによる通信エリアの最適化>

KDDIは、AI前提社会において、データセンターや海底ケーブルなどのアセットと、APNや6Gなどの技術を融合し、陸海空すべてを網羅した全国低遅延網・AI計算資源基盤を構築する「デジタルベルト構想」を推進しています。
本実証は、このデジタルベルト構想において、ネットワーク基盤そのものを高度に自律化する取り組みの1つです。デジタルベルトは、AI前提社会の膨大なAI需要を支える社会インフラであると同時に、AI技術によって高度に磨き上げられる次世代のインフラでもあります。KDDIとKDDI総合研究所は、AI技術を活用し、インフラ基盤そのものを高度化・自律化していくことでAI前提社会の推進に貢献するとともに、ネットワークの自律化・AI駆動化がさらに進む6G時代の実現にも貢献していきます。

■本実証について

1. 背景と課題

ロボットや自動運転車、ドローンなどのモビリティがAIの判断で現実世界を動く「フィジカルAI」の時代において、映像やセンサーデータをAIへ送る上り通信の重要性が一層高まっています。
KDDIは2026年2月、分散型AIを一部の基地局に導入し、エリアの最適化による通信品質の改善と、最適化に要する作業時間の短縮を実現(該当項目へジャンプします注)し、現在、全国の基地局への展開を完了しています。
さらなる通信品質の改善・安定化には、1日の中で大きく変化する混雑状況に合わせた「時間帯ごとの最適化」が必要となります。時間帯ごとの最適化には、時間単位で変動する基地局周辺の膨大なデータとパラメーター設定の組み合わせを解析する必要があり、そこから最適な設定値を導く作業は技術的にも運用的にも限界がありました。

2. 分散型AIの特長

  • 分散型AIでは、複数のAIが協力して学習を行う分散強化学習に基づき、基地局の最適な設定値を計算します。各基地局に対して設定値の推論・反映を行う「推論器」と、各推論器の経験から共通する知識を学習・共有する「学習器」が連携して最適化を行います。
  • 本実証では、時間帯ごとの通信状況を分散型AIに効率よく学習させるため、入力データの次元数を高効率に圧縮する技術を新たに導入しました。全国の基地局データから事前に作成した圧縮モデルを用い、時間単位の膨大なデータから最適化に必要な特徴を保ちつつ、冗長な情報を削減して低次元のデータに変換します。これにより、推論器への入力データの次元数を約10分の1に削減し、学習時間を約5分の1に短縮しました。
    この次元圧縮により、分散型AIで設定値を自律的に最適化することが可能になりました。本実証では、混雑時間帯の上り通信速度を平均約60%向上させ、低速度エリアを約30%削減できることを確認しました。

3. 実証内容

  • 実施期間:2026年6月~2026年8月
  • 対象環境:KDDI商用ネットワーク環境
  • 対象規模:全国から選定した100の混雑エリア
  • 対象設定:各スマートフォン(端末)に割り当てる制御信号リソース量

制御信号は、基地局がスマートフォンに「いつ・どの無線リソースでデータを送受信するか」を指示する、いわば交通整理の役割を担う信号です。通信が混雑する時間帯には制御信号用のリソースが不足し、データ送受信の指示が行き渡らずに通信速度が低下することがあります。
本実証では、上り通信速度の向上と低速度エリアの削減を実現するため、分散型AIが時間帯ごとに自律的に制御信号リソース量を判断しました。具体的には、混雑する時間帯には各スマートフォンに必要な分だけ制御信号リソースを割り当てることでデータ送受信の機会を増やし、閑散時間帯には余裕を持って割り当てることで接続の安定性を高めています。

<従来のパラメーター設定と時間帯ごとのパラメーター設定の比較>

4. 実証結果

  • 混雑時間帯の上り通信速度

    制御信号リソースの不足が解消され、スマートフォンにデータ信号のリソースが割り当てられるようになったことにより、混雑時間帯の上り通信速度が平均約60%向上しました。

  • 上り通信における低速度エリア

    上り通信速度が1.5Mbps以下となっていたエリアの数を約30%削減し、データのアップロードが安定しました。

上り通信速度の向上により、写真・動画の投稿やクラウドへのアップロードの待ち時間が短くなるほか、Web会議やビデオ通話で相手に届く映像が途切れにくく、より鮮明になります。
刻々と変化する通信需要に対しネットワーク自らが最適化を続ける分散型AI技術は、フィジカルAIの社会実装を支える通信基盤の実現に貢献します。

5. 各社の役割

  • KDDI株式会社

    自律調整の対象となる基地局パラメーターの選定、および商用ネットワーク上での厳密な効果検証と評価

  • 株式会社KDDI総合研究所

    リアルタイムかつ複雑に変化する商用ネットワークでも最適な設定値を効率的に学習する分散強化学習モデルの設計・開発

■分散型AIに関する講演・展示について

分散型AIについて、2026年10月13日から10月16日にかけて開催される「CEATEC 2026」において、10月14日のセッションにKDDI 執行役員専務 CTO コア技術統括本部長 吉村 和幸ならびにKDDI総合研究所 執行役員 無線部門長 山本 俊明が登壇します。
あわせて、2026年10月27日、28日に開催するKDDIグループ最大級のビジネスイベント「KDDI SUMMIT 2026」(会場:TAKANAWA GATEWAY Convention Center)において展示を実施します。ご参加には事前登録(無料)が必要です。詳細は、「KDDI SUMMIT 2026」特設サイトをご覧ください。

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