ニュースリリース

国内初、ダイナミック周波数共用活用で2.3GHz帯を運用開始

~放送事業者との柔軟な周波数共用を実現し、5Gの快適な通信環境提供やエリア展開に貢献~

KDDI株式会社
沖縄セルラー電話株式会社

(2023年8月3日更新)

KDDIと沖縄セルラーは2023年7月3日、5Gの快適な通信環境の提供とエリア展開加速を目的に、新たな5G周波数である2.3GHz帯の運用を開始しました。2026年度末までに全国で8,300局超の基地局を設置する予定です。
両社は、1つの周波数帯を複数の事業者(免許人)が場所や時間帯などによって使い分けるダイナミック周波数共用の運用を国内で初めて(該当項目へジャンプします注1)実現しました。これにより放送事業者が中継映像の伝送などに使用している2.3GHz帯の5G利用を可能としました。

両社はこれまで、高品質かつ強靭なネットワークの構築を目指し、700/800MHz帯からSub6(3.7/4.0GHz帯)(該当項目へジャンプします注2)やミリ波(28GHz帯)(該当項目へジャンプします注3)までの複数の周波数帯を組み合わせ、各周波数の特性や帯域幅などを踏まえたエリア設計や基地局展開を実施してきました。
このたび、基地局の電波発射と停止を柔軟に制御する自動制御システムを開発・導入し、40MHzの帯域幅かつ優れた電波伝搬特性を持つ2.3GHz帯の運用を開始することで、より快適な5G通信環境の実現を目指します。

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<ダイナミック周波数共用のイメージ動画>

2.3GHz帯基地局および電波発射の状況

<2.3GHz帯基地局および電波発射の状況>

■背景

  • 5G浸透による通信量増加への対応や迅速なエリア展開に向けて、携帯電話事業者は電波の周波数帯域を確保することが重要となっています。一方で、電波は携帯電話以外にも、さまざまな用途で利用されており、各事業者が利用できる周波数帯域は限られています。
  • 2.3GHz帯は、放送事業者がスポーツイベントなどの取材現場から映像・音声を伝送する際に利用されています。利用される時間や場所が常に一定ではないため、さらなる電波の有効活用の観点から、2.3GHz帯をより柔軟に共用する手法が議論されてきました。
  • KDDIとKDDI総合研究所は、2019年からダイナミック周波数共用の技術開発(該当項目へジャンプします注4)を行い、放送事業者と携帯電話事業者による2.3GHz帯の効率的な共用が実現可能なことを確認しました。その後、KDDIと沖縄セルラーは2022年5月に総務省から2.3GHz帯の割り当てを受けました。

■ダイナミック周波数共用の取り組み

1. ダイナミック周波数共用

優先して2.3GHz帯を利用できる一次利用者の放送事業者が、電波を利用する時間や場所などの情報をデータベースに登録します。登録されたデータベースを基に、ダイナミック周波数共用の判定システムが地理的条件などを踏まえて電波干渉の有無を自動で計算し、二次利用者(一次利用者に干渉を与えない場合に周波数を利用できる免許人)であるKDDIと沖縄セルラーが基地局からの電波発射・停止を制御します。

従来の共用(該当項目へジャンプします注5)では、利用する時間や場所を事前に決めて運用する必要があったため、双方の事業者が電波を利用していない時間や場所があるなど電波の有効活用に課題がありました。ダイナミック周波数共用では複数の免許人が利用する時間と場所を全体管理することで、同じ周波数帯の電波を柔軟かつ効率的に共用することを可能としました。

ダイナミック周波数共用の仕組み

<ダイナミック周波数共用の仕組み>

2. ダイナミック周波数共用の運用にむけた取り組み

  • (1)

    放送事業者との運用整理

    放送事業者と共に、放送事業者の利用に対して干渉を与えないことを前提としたダイナミック周波数共用の判定システムの仕様、基地局の電波停止に関する手続、緊急時の連絡体制など、ダイナミック周波数共用を実際に運用する上での課題について議論を重ね、運用ルールを整理してきました。

  • (2)

    2.3GHz帯基地局自動制御システムの開発・導入

    携帯電話基地局は24時間365日運用し続けていますが、ダイナミック周波数共用の運用を実現するためには、高い頻度で基地局からの電波発射と停止を繰り返す必要があります。基地局の電波発射と停止を柔軟に制御する従来には無かった運用を実現するため、2.3GHz帯基地局自動制御システム(以下 本システム)を開発し、携帯電話システムに導入しました。
    本システムでは、ダイナミック周波数共用の判定システムによる電波干渉有無の情報を基に、お客さまに影響が出ない形で2.3GHz帯基地局の電波発射と停止を自動で実施します(該当項目へジャンプします注6)。多く発生する電波発射・停止の作業を確実に実施すると共に、作業時間の短縮・作業負荷の低減により効率的な運用が可能となりました。

    KDDIは、「KDDI VISION 2030」として「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会を作る。」ことを目指しています。ダイナミック周波数共用の運用により、新たな5G周波数である2.3GHz帯を有効活用し、お客さまの命、暮らし、心をつなぐ取り組みを推進します。

  • 注1)
    電波有効利用促進センター(電波法第102条の17)に指定されている電波産業会(ARIB)が運用する「ダイナミック周波数共用システム」を利用し、携帯電話システムと他システムが周波数共用することが国内初(2023年7月3日、当社調べ)
  • 注2)
    6GHz未満の周波数帯のこと。
  • 注3)
    28GHz帯などの高周波数帯のこと。
  • 注4)
    総務省による令和元年から2年の研究開発である「異システム間の周波数共用技術の高度化に関する研究開発」として、KDDI総合研究所、電気通信大学、東京工業大学、信州大学、日本電業工作、ソニーグループ、京都大学、パナソニックが共同で取り組みを実施した。(2023年8月3日更新)
  • 注5)
    例えば、1.7GHz帯の一部は、携帯電話システムに割当てられているが、場所により異なる免許人(東名阪エリアとそれ以外のエリア)が運用している。
  • 注6)
    ほかの周波数帯と組み合わせキャリアアグリゲーションで利用するため、2.3GHz帯の電波を停止してもお客さまは継続して通信が可能です。
  • この記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。
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