ニュースリリース

KDDI、つながるモビリティ社会に向けた取り組みについて

~トヨタ自動車と安全・安心なモビリティ社会の実現に向け早期の社会実装を目指す~

KDDI株式会社

(2024年3月4日更新)

KDDIはIoTなどを活用し、つながるモビリティ社会に向けた取り組みを進めています。
KDDIはトヨタ自動車株式会社(以下 トヨタ)と連携し、安全・安心なモビリティ社会の実現に向けた取り組みとして、人流および車両のビッグデータと、過去の事故情報などのオープンデータをAI分析し危険地点を見える化するソリューション(以下 危険地点スコアリング)を2024年春から提供開始します。
両社は2020年10月30日から、街、家、人、クルマの全てがつながる社会を見据えて、「通信技術およびコネクティッドカー技術の研究開発」「人々の生活を豊かにするサービスの開発」に共同で取り組んできました。モビリティを取り巻く環境を踏まえ、「安全・安心なモビリティ社会の実現」「グリーンなモビリティ社会の実現」「モビリティ体験価値の拡張」をテーマに掲げて社会実装に向けた取り組みを進めています。

<KDDIとトヨタによる つながるモビリティ社会に向けた取り組みの全体像>

■各テーマの背景と構想

1. 安全・安心なモビリティ社会の実現

(背景)

2022年の交通事故発生数は約30万件、その中でも見通しの悪さに起因する事故が約4割を占めており(該当項目へジャンプします注1)、車載センサーによる警報・被害軽減ブレーキだけでは防ぐことが難しい交通事故の回避が求められています。また2035年にはコネクティッドカーの台数が2023年比で2倍になると予測され、システムの複雑化に対するセキュリティー強化が求められています。

(構想)

KDDIの保有する人流データ、トヨタの保有する車両データ、過去の事故発生数などのオープンデータなどで生成したデジタルツインを活用し、安全・安心なまちづくりや交通安全に貢献します。また、車両・ネットワーク・サーバーなど、コネクティッドに関する運用情報を横断的につなげ、個車単位の状況を把握することで、通信機能を持った車両で提供されるコネクティッドサービスに対する影響の範囲を特定し、安全・安心なコネクティッドサービスの実現に貢献します。

2. グリーンなモビリティ社会の実現

(背景)

気候変動対策としてCO2排出量削減に向けた取り組みが世界的に進んでいます。コネクティッドカーの普及拡大が進む中、電力消費量の削減とデータ処理に係る電力の再生エネルギー活用が求められています。

(構想)

コネクティッドカーの普及によって発生する大容量データを、コネクティッドカーに近いネットワークエッジにおいて液浸コンテナを活用して処理することで消費電力量を削減します。また、センターサーバーへの転送が必要なデータに関しては再生エネルギーを活用しているサーバーへ優先的にルーティングすることで再生エネルギーの活用を最大化します。それら取り組みにより、CO2排出量の削減に貢献します。

3. モビリティ体験価値の拡張

(背景)

移動中だけでなく移動前や移動後など車内と生活空間との連携によるシームレスなモビリティ体験や、お客さまの利用シーンに応じた最適な通信の提供が求められています。

(構想)

両社の提供サービス・最新技術を掛け合わせることで車内時間のリッチ化や移動の嬉しさなど新しいモビリティ体験の創出を目指します。また、それらを支える通信手段として、セルラー通信だけではなく衛星通信やWi-Fi通信の活用など、場所や時間に応じて変化する移動時のお客さまニーズに最適な通信の提供を目指します。

今後もKDDIとトヨタが持つサービス・技術・情報などを掛け合わせ、つながるモビリティ社会に向けた研究開発・サービス開発を進めていきます。

詳細は別紙をご参照ください。


<別紙>

「安全・安心なモビリティ社会の実現」のテーマにおいて、「危険地点スコアリング」「クルマと自転車の位置情報を活用した接近通知『Vehicle to Bike』」「つながる みまもりセンター」の社会実装にむけた取り組みを進めています。

■危険地点スコアリング

1. 概要(2024年3月4日更新)

KDDIが保有する最小10m単位・最短数分間隔で収集される位置情報とスマートフォン契約時の本人確認情報に基づく属性情報(性別・年代)(該当項目へジャンプします注2)、トヨタが保有するプローブデータと車載ネットワークデータ(CANデータ)(該当項目へジャンプします注3)、道路特性や交通事故発生数などのオープンデータをAI分析し、危険地点をスコアリングして可視化します。約50m四方単位で危険度合いを可視化するほか、高齢歩行者・高齢自転車利用者の割合やクルマの急ブレーキ発生率など各地点における危険要因が確認可能となるため、データに基づいた効果的な対策(道路標識の新設など)を始め、さまざまな交通安全業務に活用いただけます。

2. 活用データ
  • KDDIデータ
    :歩行者数、自転車数、年代など
  • トヨタデータ
    :車両数、平均車速、急減速発生件数、一時停止率、右左折率など
  • オープンデータ
    :道路特性、交通事故発生件数など

<危険地点スコアリングのイメージ>

■クルマと自転車の位置情報を活用した接近通知「Vehicle to Bike」

1. 概要

クルマとさまざまなモノとのやり取りや連携を行う技術「Vehicle to X」の取り組みとして、まずは、自動車・二輪車の位置情報(該当項目へジャンプします注4)を基に、危険な交差点に複数車両が同時接近した際に運転手へ事前通知する技術を開発しています。スマートフォンの通知音・バイブレーション・警告画面を通じて、車載センサーによる警報・被害軽減ブレーキだけでは防ぐことが難しい見通しの悪い交差点での交通安全に貢献します。
今後も、研究開発およびサービス開発を進め社会実装を目指していきます。

2. 詳細

余裕を持った減速が可能なタイミングでの通知を実現するため、検索処理の軽量化と同時接近判定ロジックの高速化により低遅延化を実現しました。また、危険地点スコアリングと組み合わせることで危険な交差点でのみ通知を発生させ煩わしさを軽減するほか、危険な交差点との距離に応じて位置情報の更新頻度を増減しスマートフォンの電池持ちを向上しています。
2023年2月1日から2023年2月28日まで、東京都板橋区の公道において実証実験を実施し、交差点への進入速度が平均で10.1km/h減速する効果があることを確認しました。

<クルマと自転車の位置情報を活用した接近通知のイメージ>

■つながる みまもりセンター

KDDIのネットワーク情報とトヨタの車両情報・サーバー情報など、コネクティッドカーに関する運用情報を横断的につなげ、個車単位の状況を把握することで、通信機能を持った車両で提供されるコネクティッドサービスに対する影響の範囲を特定し、安全・安心なコネクティッドサービスの実現に貢献します。
本取り組みにより、管理サーバー経由の攻撃や車両を踏み台にした攻撃など通常と異なる通信パターンを検知することで、従来では把握することができなかった個車影響軽減・回避対策を実現していきます。
今後、実運用を見据えた検証を実施し、グローバル通信プラットフォーム(該当項目へジャンプします注5)への適用を目指します。

<つながる みまもりセンターのイメージ>

■今後の取り組み

2024年2月5日から、「グリーンなモビリティ社会の実現」のテーマにおいて、液浸冷却技術を活用した小型データセンターを設置し、大容量データをネットワークエッジで処理するフィールド実証を実施しています。
また、2024年2月20日から2024年5月31日まで、「モビリティ体験価値の拡張」のテーマにおいて、友人・知人と共同編集できるコミュニケーション型おでかけ計画サービス「おでかけデザイン」、およびARグラスお試しモニターのトライアルサービスを実施します。
おでかけデザイン トライアルサービスに関する情報はこちら。

  • 注1)
    出典 新規ウィンドウが開きます「警察庁」事故類型別交通事故件数の推移(2022年)
  • 注2)
    お客さまから個別に同意を得た上で取得し、誰の情報であるかわからない形式に加工しています。
  • 注3)
    統計処理を行い、個人を特定できない形で活用しています。
  • 注4)
    お客さまの同意を得て位置情報の収集・活用をしています。
  • 注5)
    グローバル共通の車載通信機を搭載した車両の位置情報から、国・地域ごとに選定した通信事業者への自動的な接続・切り替えと通信状態の監視を統合的に行うプラットフォームです。
  • この記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。
    商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。