ニュースリリース

力の感覚を支援、小型・薄型の「力触覚提示技術」を開発

~デジタルツイン活用、卓球ラケットの方向・腕の動きを直接伝達しコツを習得~

KDDI株式会社
株式会社KDDI総合研究所

KDDIとKDDI総合研究所は、スポーツ用具などに内蔵可能な小型・薄型の力触覚提示技術(以下 本技術)および本技術搭載の卓球ラケット型力触覚提示デバイス(以下 本デバイス)を開発し、2023年10月23日に公開しました。
両社は、2030年の6G時代に向けデジタルツインを活用し、人間の自己成長を促す基盤の構築を目指しています。今回は、カメラなどで感知した人物の位置や姿勢、本デバイスの位置や向きの関係をサイバー上でリアルタイムに解析、リアルの本デバイスにフィードバックします。これにより、プレイヤーがボールを打つ際、把持した本デバイスが適切な方向に動き、プレイヤーの腕の動きを支援します。
本デバイスを介して力触覚を伝達することより、言葉では理解しにくい力加減や動作タイミングなどのコツを直感的に学習でき、人の動作支援や能力強化が可能になります。
本技術を応用することで、スポーツや芸術などの教育、学習のほか、高齢者や障がい者の生活支援などが可能な人間の自己成長を促す基盤の構築を目指していきます。

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<卓球ラケット型力触覚提示デバイス>

KDDIとKDDI総合研究所は、誰もが適切な支援を受け、経験やスキルに依らず成長できる、誰もが思いを実現できる社会の実現を目指します。

なお、本研究成果は国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、エヌアイシーティー)の委託研究(06801)により得られたものです。

詳細は別紙をご参照ください。


<別紙>

【背景】

近年、センシング技術やデータ解析技術の進歩に伴い、スポーツにおけるフォーム解析など、データに基づく指導やトレーニングの支援が行われています。しかし、これらの指導や支援のフィードバックにおいて力加減や身体を動かすタイミングなどのいわゆるコツは言葉だけでは直感的に伝えづらく、直接的な後押しになる技術は限られていました。
KDDIとKDDI総合研究所は、VR技術によるプロスポーツ体験(該当項目へジャンプします注1)、自由視点技術によるスポーツの新たな観戦スタイルの提案(該当項目へジャンプします注2)や、行動認識AIによるアスリート育成支援(該当項目へジャンプします注3)など、スポーツの分野においてXRやAIを活用した研究開発を進めてきました。また、これまで五感を伝達する技術にも取り組んでおり、触覚を伝える「Sync Glass」や「Sync Sofa」を開発してきました(該当項目へジャンプします注4)。
そこで両社は、これまでの映像伝送や映像解析技術の知見と力触覚提示技術を掛け合わせ、スポーツ用具や楽器などの道具を介して学習のコツを直接的に伝える、教育、学習領域のDXに着手しました。

【今回の成果】

■デジタルツインを活用した動作支援の仕組み

カメラなどで感知したデータを解析し、その結果を遅延なく本デバイスに送信して腕の動きを支援する仕組みを構築しました。
腕の動きを支援する仕組みの詳細は次の通りです(図1)。

  • (1)
    カメラで撮影したボールの位置、プレーヤーの位置、姿勢の情報、および本デバイスの位置や向きの情報をサーバーへ送信
  • (2)
    ボールを打ち返すための理想的な打球位置とスイングのタイミング、スイングの速度をサーバーで解析
  • (3)
    解析したスイングのタイミングとスイングの速度を本デバイスに送信、本デバイスを動作させ、プレーヤーのスイングを支援、解析した打球位置などを映像や音で提示することも可能

<図1:デジタルツインを活用した腕の動作支援の仕組み>

■力触覚提示技術を搭載した卓球ラケット型力触覚提示デバイスについて

両社が開発した本デバイスは、内部に回転軸が直交するモータを2つ搭載(図2)しています。この2つのモータを同時に駆動して、回転する円盤に二軸の回転を与えることでジャイロ効果を発生させ、本デバイスを握るユーザの手に対し、前後方向に引っ張る力を提示できます(図3)。既存の力触覚提示技術の多くはロボットアームなどの接地型や外骨格型で、スポーツのプレーのアシストには適していませんでした。一方、エアジェット方式と呼ばれる気体を噴射し、姿勢制御を行う仕組みがありますが、装置を小型化すると提示できる力が不十分でした。また、ジャイロ方式は非接地型での力触覚提示が可能で、人工衛星の姿勢制御などに用いられていますが、回転する円盤を多軸に自由回転させるため、通常、球状の容積が必要で装置が大型化し、卓球ラケットのような小型かつ薄型の形状としての実現は困難でした。
今回開発した本デバイスは、回転円盤の角度と速度を、ユーザの動作に合わせて制御することで、提示する力を維持したまま円盤の傾けることができる範囲を狭めることに成功し、非接地型で小型かつ薄型の独自のジャイロ方式に基づく力触覚提示技術を実現しました。

<図2:卓球ラケット型力触覚提示デバイスの基本構造>

<図3:小型かつ薄型の独自のジャイロ方式による力触覚提示技術の仕組み>

【今後の展望】

今後は、人の動作を支援するデバイスや人へのフィードバック方法の検討をすすめ、さまざまな教育、学習のDXに向け適応領域を増やしていきます。また、さまざまなパートナーと連携し、五感の再現・表現技術がスポーツにもたらす効果を順次分析し、さらなる知見を獲得していきます。
将来的には、団体スポーツや合奏、共同デザインなどにおける連携スキルの向上、災害時やさまざまな生活シーンで活用できるように研究開発を進め、誰もが適切な支援を受け、経験やスキルに依らず成長できる、誰もが思いを実現できる社会の実現を目指します。

(参考)

【KDDIとKDDI総合研究所の取り組み】

KDDIとKDDI総合研究所は、2030年を見据えた次世代社会構想「新規ウィンドウが開きますKDDI Accelerate 5.0」を策定し、その具体化に向け、イノベーションを生むためのエコシステムの醸成に必要と考えられる「将来像」と「テクノロジー」の両面について新規ウィンドウが開きますBeyond 5G/6G ホワイトペーパーにまとめました。
両社は新たなライフスタイルの実現を目指し、7つのテクノロジーと、それらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進します。今回の成果は7つのテクノロジーの中の「XR」に該当します。

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