ニュースリリース

新宿駅ホームで安定した5G(ミリ波)の通信エリアを拡大する実証に国内の駅で初めて成功

~列車や人が行き交う場所でもミリ波中継器で高速通信を提供~

KDDI株式会社
東日本旅客鉄道株式会社

KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:松田 浩路、以下 KDDI)と東日本旅客鉄道株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:喜㔟 陽一、以下 JR東日本)は2025年4月11日までに、ミリ波の通信エリアを自律的に最適化し構成する無線中継器(以下 ミリ波中継器)(該当項目へジャンプします注1)を用いて、JR新宿駅ホームで安定した5G(ミリ波)の通信エリアを拡大する実証試験(以下 本実証)に国内の駅で初めて成功しました(該当項目へジャンプします注2)。
本実証では、多くの列車や人が行き交い、遮蔽物でミリ波の電波が届きにくい状況下でも、ミリ波の通信エリアを拡大し、1Gbpsを超える通信速度で、安定した通信が可能であることを確認しました。
両社は今後も、ミリ波を含む電波の有効活用や、駅構内・沿線での通信環境向上、鉄道業務のDXに向けて取り組んでいきます。

<ミリ波中継器>
<ミリ波中継器設置前後の通信環境>

■本実証について

1. 背景

5Gのミリ波は、28GHz帯の広い帯域幅を活用することで高速・大容量通信が可能です。しかし、ミリ波には電波の直進性が強く遮蔽物の影響を受けやすいという特徴があるため、鉄道の駅構内など構造が複雑な箇所においては、通信エリアを拡大することが難しいという課題があります。
KDDIはこの課題を解決するため、2024年12月、ミリ波の基地局からの電波を中継して自律的(該当項目へジャンプします注3)かつ連続的なエリア形成を可能にした無線中継技術を開発し、この技術を備えたミリ波中継器を活用して西新宿ビル街のミリ波の通信エリアを拡大する試験に成功しました(該当項目へジャンプします注1)。
ミリ波中継器は小型・軽量で光回線の敷設を必要とせず、駅のホームなどのスペースが限られた場所でも設置できます。今回、KDDIとJR東日本が協力して、新宿駅ホームにおいてミリ波中継器が有効に機能することを確認する実証試験を実施しています。

2. 実証概要

本実証では以下の場所・期間でミリ波中継器を設置し、以下の評価項目について確認しています。

(1)場所・期間
  • 中継器設置箇所
    :JR新宿駅 1番線・2番線ホーム、周辺施設 合計4箇所
  • 実証期間
    :2025年2月10日~4月11日
(2)評価項目
  • 通信エリア
    :1番線・2番線ホーム、列車内でミリ波を用いた5G通信が可能であること
  • 通信速度・品質
    :ミリ波を用いた5Gの高速・大容量通信が安定して可能であること

3. 実証結果

本実証の結果、以下について確認できました。

(1)通信エリア:駅のホームのミリ波エリア拡大

周辺の建物やホーム屋根が遮蔽となりミリ波の電波が届きにくく、面的なエリア展開が難しい駅のホームにおいても、ミリ波中継器が自律的にエリアを形成し通信エリアを拡大できました。

<ミリ波中継器設置前後のミリ波エリアの比較>
  • 出典:地理院地図をもとにKDDIが作成

また、窓ガラスによって電波が減衰しやすい列車内の運転席でもミリ波の電波を受信し、駅のホームと同様に1Gbpsを超える通信が行えることを確認しました。

(2)通信速度・品質:中継ルート最適化による駅のホームの通信環境維持

駅のホームは、周辺の建物などで見通しが遮蔽されるだけでなく、列車の往来や混雑状況によって通信環境が大きく変化します。そのような環境下でもミリ波中継器が常に最適なルートを選択して電波を中継(該当項目へジャンプします注4)することで、1Gbpsを超える通信速度を、安定して維持できることを確認しました。

<中継ルート最適化のイメージ>
<列車通過前後の通信速度の比較>

4. 各社の役割

KDDIミリ波中継の技術開発、本実証試験の企画・実行・評価
JR東日本設置環境の検討・提供、本実証試験の企画・実行・評価

5. 今後の展開

KDDIは本実証の成果を生かし、駅構内や沿線などの5Gでの高速・大容量通信が可能なエリアの拡大に取り組んでいきます。JR東日本は高速・大容量通信環境を生かした、新たなサービス展開、鉄道業務のDXに向けて取り組んでいきます。

  1. 注1)
  2. 注2)2025年4月24日時点。KDDI、JR東日本調べ。
  3. 注3)1つのアンテナで、基地局から受信するアンテナ(ドナー面)と増幅して送信するアンテナ(サービス面)の両方の機能を備え、アンテナの役割を動的に切り替えて自律的なエリア形成が可能。
  4. 注4)ミリ波基地局または隣接の中継器から受信する信号の劣化を検知した場合、ミリ波中継器が最適な中継ルートを計算し、瞬時に切り替えを行う機能。列車の往来や乗降客の混雑などの状況変化により中継ルートが遮蔽された場合も、常に最適な中継ルートを自律的に選択。
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