~5G(Sub6)設備をMassive MIMO Unitへ~
KDDI株式会社
KDDIは、大規模なイベント開催時にもお客さまに快適な通信環境を提供するため、5Gの通信品質向上の対策(以下 本対策)を進めています。このたび、2024年7月末に、阪神甲子園球場(所在地:兵庫県西宮市甲子園町)への適用を完了したことをお知らせします。
本対策では、観客席エリアに導入している5GのSub6(3.7GHz帯)基地局をMMU(Massive MIMO Unit)無線装置に置き換え、基地局間の相互干渉を低減可能な無線リソース管理技術の適用を行いました。本対策により、観客席エリアが満席となる混雑環境においても従来の5G通信と比較して、通信速度が1.6倍に向上しました。
本対策により、多数の来場者が見込まれる大規模なイベント実施時でも、お客さまに高速で安定した通信サービスの提供が可能となります。
また、今後、本格的に5G SA(スタンドアローン)のネットワークスライシング(注1)の提供を予定しており、映像中継のさらなる安定提供に取り組んでいきます。
■本対策について
本対策では、阪神甲子園球場の観客席エリアに設置していた、5GのSub6基地局6局をすべてMMU対応設備に置き換えました。MMUでは、多数のアンテナ素子を利用したビームフォーミング技術の適用により、お客さまが利用される場所に電波を効率的に届けるとともに、同時に複数のお客さまの通信を収容するMulti-User MIMO(注2)を活用して高密度な通信が可能となります。
さらに、MMU性能を最大限発揮するため、スタジアム内のマルチパス(注3)を考慮したアンテナ配置に刷新するとともに、スタジアムなど高密度に基地局を配置した環境で高い通信トラフィックが加わる場合に課題となる基地局間の電波干渉に対し、基地局間の無線リソース利用を最適化して干渉を回避する管理技術も適用しました。本対策により、混雑時にもSub6の周波数利用効率が大幅に改善したことにより、従来の5G通信と比較して通信速度が1.6倍に向上し、低レイテンシー(通信応答時間)で快適な通信サービスのご利用を可能としました。
なお、阪神甲子園球場にはSub6のほか、5Gのミリ波(28GHz帯)基地局も整備して提供しています。
■今後のエリア拡大・品質向上に向けた取り組み
KDDIは、近接したSub6の2周波数(3.7GHz帯/4.0GHz帯、100MHz幅×2ブロック)を保有しています。2024年度に2周波数対応のMMUを導入予定です。Sub6の本格利用に向け、高い通信トラフィックが発生するスタジアムや都市部エリアを中心にMMUおよび関連技術の適用範囲を拡大し、通信品質の向上を推進します。今後も5Gの高度化技術を拡大し、高品質な通信サービスの提供とお客さまの利便性向上に取り組みます。
(参考)
■auエリア展開の取り組み
KDDIは、お客さまの日常をつなぐため、鉄道路線や商業地域など生活動線のエリア整備を積極的に行っています。また、お客さまの非日常をつなぐため、光回線を敷設しづらい山間部や野外イベントでは、車載型基地局やStarlinkを活用した通信対策を実施しています。さらに、日本全土にauエリアを拡張するべく、2024年内には衛星とスマートフォンの直接通信サービスを提供予定です。これにより、「日常がつながる」「非日常がつながる」「空が見えればどこでもつながる」体験を提供します。
- 注1)論理的にネットワークを分割することで、高速・大容量や低遅延などのお客さまの用途やニーズに合わせたネットワークを提供する技術。
- 注2)基地局側で伝送路状態を高精度に推定し、複数の端末と空間多重による同時通信を実現する技術。
- 注3)送出された電波が周辺構造物に反射するなどにより、複数の経路を通じて受信側に到来すること。MIMO技術ではこれを活用し、通信性能の向上が可能。
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